多くの人々が一瞥して去る中でその様子を食い入るように観る数人の若者たち
その中の一人が男に声をかける
「それ、なんですか?」「ああ、これヒップホップ、一緒にやる?」
様々な悩みや事情を抱えた者たちが見えない糸に操られるように集い、
やがてそれは自然発生的に一つのチームとなる。
日本で初めてのストリートダンスチーム、「BAD CITY CREW」の誕生だった。
彼らが主催する MOONLIGHT GIG は、毎回多くの観客を呼ぶようになり、
その噂は芸能界にも届きメジャーシーンからも声がかかるようになる。
しかしアンチ芸能界アンチテレビを標榜しストリートカルチャーの確立を目指していた
リーダーと、テレビ出演や芸能界に憧れる数人のメンバーとの間に確執が生まれ、
やがてリーダーの脱退という事態を招く。
絡み合う人間模様、絡み合う夢と憧れ
時代の先を読み過ぎた男の孤独と独善、そして無秩序な恋
彼らはこの先どうなって行くのだろうか
日本の戦後とそれに続く高度成⻑時代が遺した正と負の遺産が蒔いた種、
それがバブル前夜の 1980 年代前半、眩いほど美しい徒花を咲かせた。
愚かで馬鹿馬鹿しくも最高に素敵な時代のお話